『イニシエーション・ラブ』乾くるみ
この本には、本当に驚かされた。
必ず二度読みたくなる
というのがこの本のキャッチフレーズであるが
本当に二度読みたくなった。
読んでいくことはそんなに難くない。
いたって普通の恋愛小説。
私からしてみれば少々捻りの少ない
言い換えればドロドロしていない、ごく普通の恋愛、という感じ。
けれど
最後の一文がどうしても意味が理解できず。
既読の友人にどういうこと?と尋ねた。
その答えからこの本の本当の意味を知った時、
例えようのないある種の感動が身体を貫いた。
この作者の真髄はここにあったのか、と。
それはもう本当に、読んだ人間にしかわからない衝撃だった。
ミステリーを超えたミステリーとも
サスペンスを超えたサスペンスとも
ラブストーリーを超えたラブストーリーとも言える。
そして、そのどれとも言えない。
私の中でずっと印象の残る作品であった。
これは読書好きな方にはぜひお勧めしたい。
騙されたと思って読んでほしい。
本当に、騙されることに、快感すら憶える、かもしれない。
2017.12.01